株式会社ミダスキャピタル

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DATE.
2026.03.06
CATEGORY.
interview

連続M&Aでインバウンド市場を獲る 羅針盤・新任COOが挑むPMIと成長戦略

連続M&Aでインバウンド市場を獲る 羅針盤・新任COOが挑むPMIと成長戦略
TITLE.
連続M&Aでインバウンド市場を獲る 羅針盤・新任COOが挑むPMIと成長戦略
DATE.
2026.03.06
CATEGORY.
interview

インバウンド関連事業を運営する株式会社羅針盤は2026年2月27日、ハイヤーサービスを展開する株式会社キャブステーションと株式会社アウテックの2社をM&Aによりグループに迎え入れました。インバウンド旅行商品の付加価値向上と、収益基盤の強化が狙いです。

2社のPMIを担うのが、羅針盤取締役COOに就任した大川洋司さんです。「旅行事業開発と組織マネジメントの経験を生かし、会社の成長にコミットしていきたい」と抱負を語る大川さんに、羅針盤にジョインした経緯やM&A後のPMIついて聞きました。

◆プロフィール

株式会社羅針盤 取締役COO
株式会社キャブステーション 株式会社アウテック代表取締役
大川 洋司(おおかわ・ひろし)氏

京都工芸繊維大学 物質工学課程を卒業。新卒で株式会社リクルートに入社。同社旅行事業で営業・事業企画担当として、大手航空会社との合弁会社設立や新規事業開発を推進。旅行事業の新規事業責任者、金融事業経営企画部長を経て、全社経営企画室にて中長期戦略等を担当。2021年10月に越境領域スタートアップのアジアンブリッジ株式会社に参画。執行役員、取締役COOとして台湾に駐在し、事業の拡大および経営全般を担当。2026年3月から現職。

リクルートで営業トップを掴んだ圧倒的な商談数

――まずは、これまでのキャリアを教えてください。

2010年に大学を卒業後、新卒で株式会社リクルート(以下、リクルート)に入社しました。最初は旅行事業の「じゃらん」で担当エリアの宿泊施設に対する提案営業や、エリアの営業責任者として約2年半ほど集客・販促支援に携わりました。

入社2年目に、旅行事業における事業全体の年間最優秀賞である「ベスト・オブ・ベスト」を受賞しました。当時は数百人規模の組織でした。

――どのようにしてトップを取りましたか。

新人の頃は1日10件商談を目標に置いて営業をしていました。先輩に「質」で勝てない分、「量」だけは負けないように心がけていましたね。「量」を徹底すれば、のちに「質」で勝てることも分かっていました。
また大学時代に学園祭実行委員として協賛企業への営業経験があり、営業に多少慣れていたことも強みになったかもしれません。

その後、事業企画部門に異動し、新規事業の立ち上げや拡大を担当しました。具体的には、ANAとの合弁会社設立や日本旅行との連携を通じて、宿泊と移動を一気通貫で予約する「ダイナミックパッケージ」事業の拡大を進めました。また、「じゃらん」の膨大な予約データを活用し、現地アクティビティなど体験コンテンツの予約が出来るサービス「じゃらん遊び体験予約」を立ち上げ、一から組織の構築にも取り組みました。

その後、リクルートが貸金業に本格参入するタイミングで、金融事業へ異動し、最終的に経営企画部長として事業拡大を推進しました。

スタートアップでつかんだ経営の勘所

――2021年10月に、リクルートから越境ECのマーケティング支援・アジアンブリッジ株式会社に転職しました。

リクルートでは新規事業開発を経て、最終的に全社の経営企画を担当しましたが、「より当事者として会社経営に深く関わりたい」との思いが強くなりました。

そこでコロナ禍を機に次のキャリアを真剣に考え始めました。転職の条件は3つで「経営に挑戦できる」「海外市場を対象に仕事ができる」「有形商材を扱うビジネス」です。条件が合ったアジアンブリッジに執行役員として参画、台湾に駐在しながら事業全般を担当しました。

当時アジアンブリッジはグローバルで70人規模のスタートアップでした。大企業よりも人や仕組みがない中で「必要なことは自分でやる」という、ベンチャーならではの環境も体験できました。

――アジアンブリッジで得た知見は何でしょうか。

最も大きな学びは「キャッシュへの危機感」と「シビアな人材マネジメント」でした。

大企業と違い、スタートアップ経営は、家計のように資金の出入りがダイレクトに響く世界です。着任して最初に行ったことは、事業継続に向けて組織体制の見直しを行い、固定費の適正化に踏み込むことでした。そのようにして健全な会社経営ができるように基盤を整えていきました。

日本の企業では人材の長期的な育成が前提ですが、人材流動性が高い台湾では、より高い待遇を求めて転職するのが一般的です。そのため、従業員の現在の能力に応じた報酬設計を組みながら、成果責任を明確にする組織運営にも注力しました。

日本ではない環境で意思決定を重ねた経験は、経営者としての視座を高めるいい機会になったと思います。

羅針盤への参画、リクルート時代の先輩からの一言がきっかけに

――羅針盤参画のきっかけを教えてください。

2025年4月に台湾から帰国後、次のキャリアを考えるため情報収集を始めました。当時の私は「規模は小さくてもいいから、自分がトップとして会社経営を担いたい」と考えていて、ファンド傘下の企業でバリューアップを任されるようなポジションを探していたんです。

そんな中、リクルート時代の上司で、現在はBuySell Technologiesの取締役・中村隆之さんと話す機会がありました。そのときに「探しているポジションに合う機会がある」と誘われたのが、羅針盤を知るきっかけでした。

羅針盤がM&Aに伴う新代表を探していたタイミングでもあり、ご縁をいただき、羅針盤・取締役COOに就任しました。

中村さんのように人格、能力ともに尊敬する先輩から誘われたのは本当に大きな決め手になりました。

どれだけ優秀な人が集まり、良い事業を展開していても、対象となる市場そのものが伸びていなければ厳しいことは今までの経験から理解していました。

だからこそ、優秀なメンバーとともに成長しているマーケットで、しっかり投資を受けながら事業を推進できる環境を求めていました。「優秀な人材がいる」「成長している市場」「投資余地がある」という土台があるなかで、羅針盤は自分のこれまでのキャリアを生かせる環境が揃っていると感じています。

――ミダスキャピタルに対して、どのようなイメージをお持ちでしたか?

最初に抱いた印象は「荒々しくも、成長に貪欲」というものでした。「ミダス企業群の時価総額を1兆円、10兆円、100兆円にする」という具体の数字目標を掲げ、成長そのものを楽しむ文化があると感じました。

何よりミダスキャピタルは、長期的な視点で事業や投資を考えられる環境があります。自己資本のみで運用し、上場後も売却せず、半永久的に筆頭株主であり続けることを基本にしています。これから伸びる市場において傑出したメンバーを集め、事業成長させる戦略がシンプルでありながら強く、そして面白いと感じました。

スピード重視のPMIが成長の鍵

――羅針盤ではどのような職務で、事業成長にコミットしていくのでしょうか?

2026年3月1日付けで株式会社羅針盤の取締役COOに着任し、さらにはM&A先の株式会社キャブステーションおよび株式会社アウテックの代表取締役としてPMIを主導していきます。

両社は全国で観光タクシーや貸切バス、ハイヤーの手配ならびにハイヤーの自社運行をするサービスを提供しており、羅針盤にとって自社の売上よりも大きいM&Aは、さらなるビジネスの拡大に向けた極めて重要な成長戦略になっています。

スタートアップでの経験も活かしつつ、直近はPMIを成功させてシナジーを最大化させていくことが私の役割なので、まずは組織に深く入り込んで着実な土台作りから着手していきます。

すでにキーマンとの会合や全役職者との1on1は終え、今後は100名を超えるメンバーとの面談を通じて、一人ひとりの業務や課題、考え方等をより深く理解していく予定です。

事業の解像度を上げ、誰よりも数字に詳しくなり、現場の不満や社員のリアルな声を把握する。スピードを重視したPMIが大事になるでしょう。また、現場の課題を議論の場に引き出し、会社運営を適正化、透明化していくことが私の介在価値であり、リーダーシップのあり方だとも考えています。

M&Aをした2社の経営陣は私よりも経験豊富で、業界知識やノウハウの面では大きな敬意を持ち、積極的に頼っていきます。その一方で、私は事業を数字で可視化し、正しく執行(エグゼキューション)するために、リクルートで培ったマネジメント手法を持ち込むことで事業成長に貢献していきます。

狙うは体験価値の「内製化」 連続M&Aで見据えるインバウンド市場の勝機

――今回のM&Aは、羅針盤にとって次のステージへの成長タイミングかと思います。ミダスキャピタルのサポートはどのようなものですか。

ミダスキャピタルには、数多くのM&AやPMIを成功させてきた「虎の巻」とも言える膨大な知見と、それを支える専門人材が豊富に揃っています。

着任にあたっては、PMIのプロフェッショナルが伴走し、具体的なアプローチ方法の事前共有など、手厚いフォローアップ体制を整えていただいています。特に心強いのは、着任と同時にミダスキャピタルからハンズオン・フルコミットの即戦力人材をアサインしていただけたことです。

私自身、PMIの実務は初めての挑戦となるため、こうした支援はありがたいです。

さらにミダスキャピタルの素晴らしい点は、これほど手厚い支援体制がありながら、最終的な意思決定の裁量は自分に委ねられていること。自走を促すための適切な距離感と、サポートのバランスが取れているからこそ、私自身も高いモチベーションを持ってこのミッションに挑むことができています。

訪日外国人による旅行支出の推移(出典:国土交通省)

――最後に今後の展望についてお聞かせください。

拡大するインバウンド市場において、訪日外国人や訪日外国人を消費者に持つ企業からファーストチョイスとして羅針盤が選ばれるように事業を磨き上げることが、さらなる成長の鍵だと捉えています。

また観光業界は、魅力的なコンテンツを持ちながらも小規模な事業者が多いため、今後は連続的M&Aを用いたビジネスの拡大も重要な手段だと考えています。特に、出口を模索しているコンテンツホルダーをグループに迎え入れ、独自の体験価値を内製化することは、利益率の向上とサービス競争力の強化に直結します。

これらのことをスピード感を持って実現し、将来的な上場や企業価値の向上に貢献できるよう頑張りたいと思います。

――ありがとうございます。PMI後の成長が楽しみですね。

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